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仙台高等裁判所 昭和25年(う)228号 判決 1950年7月06日

被告人

片野五郎吉

主文

原判決を破棄する。

本件を仙台地方裁判所に移送する。

理由

弁護人高橋真二次の控訴趣意第一点について。

原審公判調書を検討するに、原審は、所論の立証趣旨のもとに弁護人が証拠として、昭和二十四年十月一日付並びに同年十月一日付並びに同年十月十一日付の郵便往復はがき一通及び大上鹿造作成片野好惠宛昭和二十四年十月九日付郵便はがき一通の取調を請求したのに対し、これが採用の決定をしているにかかわらず、その取消決定もないのに該証拠調を施行した形跡が存しない。記録には右の請求にかかるものと思料される郵便はがきが編綴されてはいるけれど、これについて公判において展示や朗読のされた形跡は認められないのである。しかりとすれば原審においては証拠調の決定をしながらその取調をしない違法があり、この訴訟手続上の法令違反は判決に影響を及ぼすこと明らかであるというべきであるから原判決は破棄を免れない。

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